Masami 01/02/03/04/05/06/07/08/09/10/11/12/13/14/15/16/17
Masami 始業式の朝
by Pekka
始業式の朝、私は制服に着替えていた。上は半袖のセーラー服、下は紺色のスカート。しかし以前と決定的に違っていたこと、それは、私にはもう両腕がないということだった。
話は1学期の終わりにまでさかのぼる。それまで私はごくふつうの少女だった。体育と家庭科が得意で、友達も多かった。だがある日、私は両腕の骨肉腫を宣告された。残された道はただ一つ、両腕を切断することだった。
最初はとてもつらかった。自分でできることは何一つなかった。食事も、着替えも、トイレまでも、誰かの助けなしにはできなかった。足を使えと言われても、私には無理な相談だった。やりたいことは山ほどあるのに、そのほとんどができない。この屈辱がわかるだろうか?そうして過ごしていくうちに、私の心は沈んでいった。
だが、私は変わった。そう、あれは、2度目の入院中だった。あの子と約束したからだ。その約束を果たすべく、私はこれから生きていくのだ。
退院してから昨日まで、毎日必死でリハビリをした。並大抵のことではなかった。14歳の私の体は、新しい使われ方に苦労した。
そして今私は一人食事をで食べられる。着替えもトイレも大丈夫。字を書くのだって何とかできる。自立を目指した成果だった。
だが正直言って不安だった。先生にはすでに会っていたが、他の友達は私をどう思うだろうか。今まで通り、分け隔てなく接してくれるだろうか。だれかにからかわれはしないだろうか?授業にもついて行けるだろうか?
鏡に映った自分の姿は、これ以上なく無防備だった。そんな自分を見るとため息が出た。だけどこれが現実なんだから仕方がない。
私はしばらく目をつぶり、今までの苦労を思い出した。それに私にはあの子がついてる。
「私、強くなるよ。大丈夫、絶対に。」
そうして両目を見開くと、学校へ行く決意をした。
※時代は1970年代、骨肉腫の治療法が切断しかなかった頃の話です。
※義手は高価な上、使っても大して役に立たないので使わない予定です。
※衣服には、自分で脱着できるよう、マジックテープを使うなどの工夫がされている設定です。
Pekkaさまへのおたよりは、めなぞ〜る♪までお願いします!