な志ごれんさまの小噺〜 (@。@)


長靴を履いたお姫さま、そして百年眠った王子様と魔法使い

お城からの使いが来るというので、その家は朝から大騒ぎでした。
やがてラッパがたからかに鳴って、馬を引いたお城の使いが家の前にやってきました。
門口に馬をつなぐと、使いは何やら肌色の長いものを二本かかえて、家に入ってきました。
それは、股の付け根まである長靴のようでもあり、関節のある人形の脚のようでもありました。
母親は太った長女にそれを履くようにいいました。

言われるなりに長女が長靴へ右足を差し入れると、どうしたわけか長靴はすぐのところで行き止まり。長女の脚は入りません。
左足を入れてみると、やっぱりすぐに行き止まり。
ぐずぐずしている長女を見ていた母親は、手にした斧で、長女の両脚を短く切ると、むりやり長靴にねじり込みました。

長女はあまりの痛さに涙を流しながら、使いの者に手を引かれ、お城の方へ歩きはじめましたが、長靴の中は血まみれで、おまけに長女の太い腿には窮屈でしたので、いくらも歩かないうちに、長靴は脱げてしまいました。
お城の使いはおこって、道端にころがって泣いている長女から長靴を取り上げると、さっきの家に引き返しました。
それを見て母親は青くなり、いそいで痩せた次女の両脚を短く切って長靴につっこみました。

次女は血の気も失せて、使いの者に手を引かれ、お城の方へ歩いていきましたが、長靴の中は長女の切り口から出た血と脂でいっぱいで、おまけに次女の腿は痩せていたので、いくらも歩かないうちに長靴は脱げてしまいました。

お城の使いはますますおこって、道端であえいでいる次女から長靴を取り上げると、また、さっきの家に引き返し、もうこれ以上青くなれないほど青くなった母親の手から斧をとりあげ、その斧で母親の両腕を肩からすっかり切り落としてしまいました。
そして腕の無い母親は、馬にくくりつけられて、お城へ連れていかれることになりました。

お城の使いが馬を引いて出発しようとしたその時、奥の暗がりの中から末娘がいざって出てきました。
見ると、両脚は股の付け根からすぐのところまでしかなく、腰の布からは二つの丸い腿の切り株がのぞいているだけです。
使いの者が長靴を履かそうとしてみると、不思議や不思議、長靴の方から末娘の二つの切り株に吸い付いて、使いの者に支えられて立ち上がると、末娘はすらりとした美しいお姫さまになりました。

さて、お城の王子様は悪い魔法使いの魔法で、もう百年も眠りつづけていました。お姫さまとの結婚式の間も、ずっといびきをかいて眠っていました。
結婚式が済むと、二人は大きなベッドに載せられて、召使の手で着ているものを一つひとつ脱がされます。
まず、お姫さまの金の冠が脱がされると、美しい黒い髪が現れました。王子様のプラチナの冠が脱がされて、柔らかい金の髪が現れました。
お姫さまの絹のお召し物が脱がされると、白い肌が光り輝きました。
王子様の重い甲冑が脱がされると、たくましい胸が大きく息をつきました。
お姫さまの腰布が取られると、紅く美しい花が開いてかぐわしい空気がたちこめました。
王子様の股当てがはずされると、なんとまあ、かわいい股間の物が姿を見せました。
さいごに、お姫さまの長靴が脱がされると、腿の切り株がつるんと二つそろってあらわれました。そしてお姫さまが、そのまるくて柔らかい断端で少年のような王子様のものをはさみ込むと、それはむくむくと大きくなり、立派な青年のものになって、魔法がとけた王子様は、ぱっちりと目を覚ましました。

目を覚ました王子様は、家来から事の一部始終を聞いて、腕の無い母親が、あの悪い魔法使いであることを見破り、お城の前に大きな鉄の舞台をつくると、下からたくさんの薪で火を焚いて、母親を鉄板の上に立たせました。

腕の無い母親はしばらくすると踊りだし、ずいぶん長いこと休みなく踊っていましたが、そのうち鉄板は真っ赤になって、母親の両脚もだんだん股の付け根の方まで鉄板と同じ色になると、踊りもやがてゆっくりになりました。
そして、動きの止まった母親が、やおら失禁したので、小便のかかった両脚はしゅっと小さな音をたて、真っ黒な消し炭となり、一瞬にして崩れたかと思うと、手も足もない母親の胴体が熱い鉄板の上にころがり落ち、じゅうじゅうと脂の焼ける音がして、それは、いつまでもいつまでも鳴り止みませんでした。

おしまい



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