「おひさしぶりね、ユリ・・・ 私のこと、おぼえてるかしら?」
ユリのケースの前にスーツを着た一人の女が立っていた。
ユリより少し年長に見える、理知的な感じの美人だった。

「うう・・・ く・・・・ うふ・・・・」
ユリの口からくぐもった声が漏れる。
「なあに 薬でテンション下げてもらわないと、まともに喋ることもできないの」

「かわいそうにね。 脳の神経組織までいじられて、二十四時間発情しっぱなし・・・ ケイを宿してからは、ずーっと絶頂の一歩手前のままなんだものね」
「ううう・・・・」
ユリの口の端からよだれが漏れる
「なあに? ユリ、はっきり言いなさいよ。私とあなたの仲なんだから、できるだけのことはしてあげるわよ」

「て・・・・・ ほし・・・い・・・・・」
「てって、この手が欲しいの?」
女が自分の右手をユリの前にかざす。
ユリはこくりとうなずいた。
「何をするの? 手で?」

「じ・・・ じぶんで・・・ する・・・の・・・・」
「そうだったわね、ユリは自分でするの、得意だもんねぇ」
「ユリ・・ とくい・・・・」
女はにっこり笑って言った。
「そう言えば、ユリ、おぼえてる? 不眠不休で、自分でやり続ける実験・・・・・ あの時は薬で発情させたのよね。でも、そう、あの時には自分の手があったから、必死で慰めて。結局何回ぐらいイッタんだっけ? 最後は何回も心臓が止まっちゃって、補助心臓まで取り付けて、それでもやり続けたもんね、ユリは。あはははは」
「うううう・・・・・」
ユリの顔が紅潮した。

「なんなら、腕を付けてあげようか? ユリ」
その言葉に、ユリはピクリと反応した。
「あははは、無駄よ、ユリ。だってあなたの脳にはもう腕や足を制御する神経回路が無いんだもの。手足を移植したところで、ピクリとも動かないわ」
ユリの反応を待たずに女は続けた。
「ユリ、もしあなたに手があっても、やっぱり無駄よ。無駄。いくら自分で慰めても、未来永劫、絶対にイクことはできないのよ、あなたの身体は。もう、わかってるでしょ?」
「・・・・・」
「普通の動物なら発狂するか、心臓が負担に耐えきれなくなるか・・・・ それくらいの物凄い性衝動がエンドレスで沸いてくるんだもんね。つらいわねぇ。ふふふ。頭の中はいつもいやらしい考えでいっぱいになってるんでしょ?」
「そ・・・ そんな・・こと・・・・ ない」
「今日、団体で来た子供たちがいたわね、ユリ。ふふ〜ん。かーいー子供たちぃ、ですって? ウソおっしゃい! あの子たちの半ズボンのさ、股間にしか目が行っていなかったじゃない、わかってるのよ、変態! 汚らわしい」
「ちがう・・・ ちがう・・・よぉ・・・・」
ユリは泣きだしたが、女は無視して続ける。
「四六時中はちきれそうで、絶頂の一歩手前のままって、どんな感じなのかしらね。 まあ、自分で試したいとは絶対思わないけどね、死んじゃうもの。ふふふ・・・・ 作業員に身体を拭かれるときなんて、さぞかし辛いんでしょうね・・・・・ ちょっと身体に触られただけで、一気に昇り詰めそうになって・・・・でも、絶対に絶頂にだけは達しない・・・・ 脳の神経回路をそういう風に作り変えられてるんだもんね。 ねえ、ユリ、どんな感じなの?」
「・・・・イクかと思ったの・・・ でも、ギリギリの・・ところで・・・・ すーっと、消えちゃって・・・ でも、またすぐに、身体の中から・・・・ 沸いてきて・・・・ くるしいよ・・・ おねがい・・・ たすけて・・・・・」
「だめよ。あなたとケイの二人、いえ、二匹? 二個かな、は、未来永劫、人類滅亡の日まで苦しみ続けるのよ。いいわね」
「いや・・・・ ゆるして・・・・たすけてよぉ・・・・・・・」
「銀河中のトラコン被害者からの寄付がね、膨大な量なのよ。政府もそれを資金源にして、あなたたちを苦しめ続ける技術をね、研究するための研究所まで設立したのよ。すごいでしょ。で、私がそこの主任研究員に招かれて、そりゃ、あなたたちの身体をいちばんよく知ってるものね、私が。で、こうして再会できたってわけ。 うれしいわ! またあなたの身体で実験ができるなんて」
「たす・・・けて・・・・・・」
「ユリ、楽しみにしててね。もー毎日、全力で研究して、新しい苦痛をどんどん開発してあげる。絶対飽きさせたりしないからね」


「う・・うう・・・・」
「あら? あらあら、どうしたの? ああ、ケイが暴れてるのね」
「ああ・・・ ああああ・・・・・」
「またイキそうなのね、ユリ。 大変ね、ケイが子宮の中で動くたびに、性器を内側から刺激されるのね・・・・」
「ケイ・・・ おね・・がい・・・・ そんなに・・・うごか・・・ない・・で・・・」
「しかたないわよ、ユリ。 だってケイの脳もあなたと同じことになってるのよ。意識はまだ半分くらいしか覚醒してないはずだけど、身体は絶頂一歩手前よ」
「ああ、や、やめて・・・・ ケイぃ」
「おやおや・・・・ ケイったら、ユリの子宮の壁に自分の性器を擦り付けてるのね。 これじゃ、ユリはたまんないか・・・・」

もだえるユリをながめながら、女は続けた。
「生きたまま解体されて喰われる地獄、相棒の生肉を喰わされる地獄、絶頂一歩手前の性衝動に焙られ続けて絶対にイケない地獄・・・・・ 誰が考えたのか知らないけど、よっぽど嫌われてたのね、あなたたち・・・・」

ケイの動きが少し落ち着くのを見計らって、女はユリに話しかけた。
「さてと、じゃあ、再会を祝して・・・・・」
女は自分のスカートのサイドのファスナーを、ゆっくりと下げ、脱いだ。
黒いレースの下着がいやらしい。
「どう? ユリ、いやらしいでしょ?」
ユリの視線が、釘付けになっているのを確認してから、女はゆっくりと下着を降ろした。
「ああ・・・・あああああ・・・・」
ユリの目が血走る。
涎があふれる。
できるだけユリから見易いように位置を決め、女は腰を下ろし、左右に足を開いた。
「あ・・・・ ああ・・・・・・」
ユリの全身に、絶対かなえられない欲望が沸き上がってくる。
女は持っていたポシェットから、男性器を模した器具を取り出し、よくユリに見えるように掲げた。
「どう? うらやましいでしょ、ユリ! 気持ちいいわよ〜」
「ああ! ああ! あああああああ!」
ユリはケースの中で絶叫する。
口から泡を吹き、全身から汗が飛び散る。
「自分で慰めることもできなければ、絶対にイクこともできないあなたには、こんなの見せられるのは地獄よね。さあ、よーく見てるのよ、ユリ」
女は器具の先端を自らの割れ目に押しあて、できるだけ大袈裟にいやらしい喘ぎ声をあげはじめた。

「ふふふ・・・・
こうやってね、毎晩毎晩、あなたたちの前でやってあげる
あたしだけじゃないのよ
トラコンに恨みのある娘はいっぱいいるんだから
目の前で、いろんないやらしいことをしてあげるわ
極限まで煽りたててあげる
辛いでしょうね・・・
苦しいでしょうね・・・・・・」

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