「今日からおまえの担当だからな。ま、可愛がってやれや」 「ねえ先輩、これ、あれでしょ、なんだっけ、世界福祉・・なんとかの」 「ああ、実態は移民国家弾圧の武装組織だったってんだから、驚いたもんさ。銀河の平和とか言いながら、何億人殺したかわかりゃしない、極悪人よ!」 「WWWAに銀河連合ねえ・・・ なんかすげー連合宇宙軍とかもあったのに、最後はあっけなかったっすね」 「二百年以上、俺たち星間移民を徹底的に搾取してやがったんだからな・・・・。 銀河中のカネも資源も全部旧テラ系財閥のものだとかヌカしてた、ゴミ野郎どもよ」 「ルーシファと銀河中の移民国家がいっしょになって戦争しかけてくるなんて、連中考えてもいなかったんでしょうね」 「へへ、いい気味よ」 「ま、万事うまくいったから、こうして記念館もできて・・・」 「俺たちも職にありつけたってわけよ」 「でもこれ・・・ えーと、名前、は」 「ユリ。下のプレートに書いてあるだろうが」 「エ、と、そのユリは・・・よく生き残ってましたね。 たしかWWWA関係者は皆殺しにされちまったんじゃ・・・」 「ああ、銀河連合の手でな、弾圧の証拠隠滅にな。 まったく、骨の髄から腐った奴らだったわけだ」 「ラブリ−なんとかでしたっけ、二人組みでしたよね」 「ああ、このユリとな、相棒の、えーと、そうそう、ケイだ・・・ そうよ、この二人だけド汚ぇ手ぇ使って逃げ延びてな。 こいつらが捕まった時、どこでなにやってたと思う?」 「さあ?」 「へへ、驚くなよ。生物工学関係の企業でな、実験動物として飼われてたんだとよ。 自分で記録を改竄してな、実験動物の払い下げを装ってWWWAから 逃げ出したんだとよ。まったく呆れるぜ」 「動物扱いされても生き延びたいか・・・はー、よくやるよ・・・」 「いろんな実験に使われたらしいぜ。 何しろ遠慮なく人体実験がやれるわけだから、会社の方は大喜びだったらしいわ。 ほら、股間から、いろいろデカクなってはみ出てるだろ。 あれもその時の実験の名残だそうだ。 遺伝子レベルで、なんやら、改造されてるそうだぜ」 「こいつらが発見された時には、銀河中大騒ぎでしたよね」 「そりゃおまえ、トラコン災害の被害者やら遺族やらは銀河中に何千億人いるかわかんないんだからな。 人民政府も事態の沈静化に必死だったみたいだが、それでも、死刑にしろとかブッ殺せって投書が銀河全域から殺到して、そりゃもう、政府の回線が半月ほど麻痺したっていうぜ」 「すごいっすね・・・」 「・・・ところでこいつら、人民法廷で死刑になったんですよね?」 「まあ、厳密にいうと、人民法廷じゃなかったんだけどな」 「え?」 「つまりだ、WWWAから逃げる時の動物登録が有効扱いになっててな」 「そうそう、さっき聞き忘れたんすけど、動物登録ったって、違法改竄なんでしょ」 「だからー、確かにそりゃそうなんだけどさ・・・ 何しろ改竄に使われたWWWAのコンピュータそのものが銀河連合のWWWA抹殺で無くなっちまったし、当然職員の記録なんかは中央コンピューターからも完全に抹消されてたんでな」 「はあ」 「自分で人間やめて動物になったバカなんて、今まで一人もいなかったからな。 そんなときどうすればいいか決めた法律もあるわけない」 「うーん、難儀ですねぇ」 「だろ。だから、こいつらを元トラコンとして裁判にかけるには、その前に、まずこいつらが人間であることを証明するための裁判を延々とやるとか、議会を招集してすったもんだやるとかしなきゃならないわけよ」 「なるほど・・・発足したばかりの人民政府としちゃ、そんなことやってらんね−ってことですか」 「ほかにもな、裁判になったらこいつらにも証言させたり反論させたり、弁護士つけたりしなきゃならないだろ。 こないだまで現政府の天敵だった奴だ、余計なこと言われたりしても、 やっぱ、面倒じゃん」 「はあ、なるほど」 「でな、結局、人民政府としても法律をタテにして、最後まで動物扱いで押し通して、さっさと殺しちまおうてことになったってわけさ」 「はー、なるほど、なるほど」 「なにしろ銀河で一番怨まれてる奴らだ。 人権がどうしたなんて声はほとんどあがらなかったからなー」 「はああ、そうだったんっすか」 「だから結局こいつらの処分を決定したのは、畜産委員会だっけ、ん、小委員会だったっけ、まあ、そういうとこだったわけさ。 で、こいつらの登録番号が家畜の番号だったのにも関らず、動物実験に使われてたってことで、家畜としての価値がもう無い、で、屠殺するってことに決まったらしいわ」 「なんか、一応筋が通ってますねー、あははは」 「まあ、結局はお役所だからな。そのナントカ委員会も、まあ、初めてのケースだからな、ケンケンガクガクってやつでよ、決まるまで一年近くかかっちまったけどな」 「ところで、さっきから思ってたんすけど、なんか、やたらと詳しいっすね、先輩」 「う、うん・・・俺の家族も・・・友達も、みんなトラコン災害で死んじまったんだよ。 だから、な・・・・やっぱり、こいつらには関心がな・・・・・」 「・・・・・」 「ま、それは置いといてだ」 「はあ」 「ところがだ、この記念館ができることになってな、 で、上の方でいろいろとあったらしいが、結局、殺しちまえばそこまでだ・・・と。 それより、ここでWWWAが散々やってきた虐殺の証拠としてよ、 生きたまま永久に展示する方が有効活用になるんじゃないかって話になったらしいのさ」 「ははあ、人間じゃないってンだから、それもアリってわけか。 廃物利用っすね・・・ でも、こいつらをそんなして生き延びさせたんじゃ、世間が黙ってないんじゃないっすか?」 「生き延びさせるってよりも、うーん、うまく言えないんだが、 なんて言うかな、そう、永久に殺しつづけるって感じなのかな」 「え? よくわかんないんすけど・・・」 「つまりだ、ナカをとってだな、ははは、屠殺と生きたままの展示を 両方うまくやろうって方法を考えたってわけよ」 「ますますわかんないっすよ、俺。 それに、生きたまま永久にったって、こいつも生きてんですから、 だんだん歳くって、いつか死にますよ」 「それがな、歳もとらねえし死なねえんだよ、ってより、死なせねえんだと」 「??」 「だっておまえ、こいつは大事な展示品なんだぜ。 うーん、どう説明すやわかりやすいかな。 ああ、そうだ、ほら、また何か話しかけてるだろ」 「あ、ほんとだ・・・ 誰に話しかけてるンすか?」 「こいつが話しかけてるのはな、へへへ、その糞の山にさ」 「はぁ?? そういやぁ、何でこの糞の山、かたずけちまわないんすか? カーテンの後ろにはガラスがはってあるから、通路にゃ臭ってこないけど、 きったね−し」 「へへへ、これを掃除するとな、へ、こいつが喚き散らすんだよ」 「ええ? 糞の山をっすか?」 「つまりだな、こいつが二人組みの片われだってのは、おまえも知ってるだろうが」 「ええ、だからナントカペアとか言われてたんですよね」 「そうだ。で、そのもう一人のケイって方はどこにいると思う?」 「あれ? そーいえば・・・」 「へへへ、目の前にいるぜ、へへ」 「???」 「わかんねえか? じゃあな、その糞の中をよく見てみろや。 金髪が混ざってるのに気づくだろうが」 「あ、確かになんか混ざってる」 「だろ。へへへ、この糞の山はな、へへへ、こいつの相棒の残骸なのさ」 「え!」 「まあ、そう驚くなよ。だからな、こういうことよ」 「と、いわれても、なにがなんやら・・・・」 「ほら、ユリのキャビネットの横の、ガラス張りの展示ケースな」 「空ですけど・・・・」 「今はな。だけどな、昨日までは、その相棒のケイってやつがここで解体され続けてたってわけよ」 「解体・・・され・・・・続ける??」 「そうよ、生きたまま、ゆーっくりと解体していくのさ。念入りにな。 俺たちは、ふつう、このガラスケースのことをマナ板って呼んでるんだ」 「マナ板・・・解体して・・・?」 「でな、そうやってバラされた肉やら内臓やらが、 こっちに吊るしてある、このユリの餌になってたってわけよ」 「うえ! こいつ人肉を・・・喰ったんすか・・・・」 「そうよ、なんせ畜生だからな。相棒の肉だろうが内臓だろうが、おかまいなしよ」 「うええ・・・」 「まあ、実際にゃ、無理矢理肉片を口んなか押し込んで、無理矢理飲み込ますんだがな、へへへ・・・ で、解体なんだがな、俺には詳しいこたぁ、よく解んねえんだがな、なんでも特殊な薬やら生命維持装置やらを使って、最後の最後に脳ミソ潰される瞬間まで意識があるんだそうな」 「うえええ、どんな感じなんでしょうねぇ、自分の体が解体される時って」 「さあなぁ。解体はよ、体の端の方からゆっくりとな、時間をかけて、こう、丹念にな、死なねえように死なねえように、じんわりと毎日少しづつバラしていくのよ。 バラされてる間は、ずっとこのケースの中に寝かされてるわけだがな、 こう、上の蓋が閉まるとよ、外の空気が入らないようになってるらしくてな、途中で腐ったりはしないんだとよ」 「ゆっくりって、どのくらいかかるんっすか?」 「三ヶ月よ。三ヶ月間生きたまま、毎日少しづつ体が無くなってくのよ。 で、毎日切り取った肉やら内臓を、吊るしてある相棒に食わせてやるのさ」 「うげええ・・・ 自分の目の前で、自分の体が喰われていくだなんて・・・・ 気が狂っちまいそうだ・・・・」 「まあなぁ、考えただけでおかしくなりそうだがな、俺も。 だが、まあ、いかにも畜生って感じの最後じゃねえか、なあ」 「きついっすねぇ」 「いやぁ、でもなぁ、自分の肉が糞になって、 こう、こいつのケツの穴からブリブリ垂れ流されてよ、 ボタボタ積み重なってくのを観る方が、もっときついぞ、たぶんな」 「骨とかはどうするんですか、骨盤とか」 「ミキサーにかけるのよ。 昨日が三ヶ月目の最終日だったんだがな。 毎日解体されてって、最後にはな、首だけになっちまうんだが、機械から伸びたチューブやら電線やらがいっぱい繋がっててな、生きてるんだよな、しっかりと。 驚くぜ、いや、マジで。 昨日、その首を生きたままミキサーにかけてな、こう、なんだっけ、ミンチじゃない、こうドロっとした・・・」 「ムース?」 「っていうのか? まあ、そんな感じにしてな、ユリの口から流し込んだのよ。 だから、ほら、こいつが今垂れ流してる糞、これが相棒の顔やら脳ミソのなれの果てってことだな。 ほら、けっこう髪の毛が混ざってんのがわかるだろ」 「地獄っすねぇ・・・・ 一思いに死刑になった方がずっと楽っすねぇ」 「でもな、やっぱ銀河中のトラコン被害の遺族にしてみりやぁよ、 こいつらをこれくらいのメに合わせてやらないと、やっぱ、我慢できんだろうよ。 何百億人殺されたかわかんねんだぜ、こいつらにゃ」 「うーん、でも、ケイでしたっけ、の体をそうやってバラバラに刻んじまっちゃ、 死んじゃいますよ。無くなっちゃうんだから、全身が、完全に」 「へへへ、それがな、そこで終わりにしちゃ面白くねえ。 誰が考えたか知らねえが、巧妙にできてるんだ」 「はあ・・・」 「最後に脳ミソ潰す前に、なんでも、記憶伝達物質とかいったっけ、 それを脳ミソから搾り出すんだとよ。 で、それを高速培養したこいつ自身、つまりケイ自身だな、 それのクローンに植え付けると、あら不思議、死ぬ寸前までの記憶を持った同一人物の出来上がりってわけよ」 「できるんすか、そんなこと」 「ペット用のよ、調教済の動物を量産するのに、かなり以前から実用化されてたらしいぜ。 本人にしてみりゃあ、やっと死ねたと思ったのに、あの世から引きずり戻されるって感じだろうな」 「知らなかった・・・ でも高速培養って、そんなのできるんですか?」 「おまえ知らねえのか? 食肉用の家畜だとかは、クローンを高速成長させて大量生産してんだぜ。 それを応用すりゃあ、三ヶ月もあれば十何歳まで成長させちまうくらい簡単らしいぜ。 人間にはな、まあ、いろいろと問題があって使えねえらしいんだが、まあ、こいつらは畜生、動物だからな、遠慮するこたぁねぇ」 「なるほどねえ。でも、先輩、その培養装置なんかはけっこう大がかりな装置なんじゃないですか。 そんなのありましたっけ、ここに?」 「家畜なんかは大きなガラス製のタンクみたいので育てるらしいがな、ここでそんな装置は使わねえ、へへへ」 「というと・・・」 「そこが新技術なのよ。新技術」 「はあ・・・」 「おまえの目の前にぶら下がってるこいつ」 「ユリ、ですよね」 「そうだ。で、こいつはメスだよな」 「エ、ええ、女、あ、動物だから、メス・・・・です、はい」 「メスってことは、こいつの腹の中には子袋がある」 「子袋、ああ、子宮ですね。はい、あります」 「なら、それを使えばいいじゃねえか」 「え、えええ・・・」 「だから、ガラス製の培養槽の代わりによ、 こいつの子袋を使ってクローンをつくりゃいいじゃねえかよ」 「こいつの、子宮で・・・」 「そうよ、コンパクトでいいだろうがよ、そのほうが」 「マジでできるんすか、そんなこと」 「できるさ。 しかもこの技術はな、こいつらを実験動物として使ってた例の企業な、あそこでこいつら自身の子袋を使って開発された技術なんだとよ。 この間、エンジニアに聞いたんだがな、ええとたしか、人工培養槽の代用に異種生物の子宮を用いた受精卵の超高速培養技術・・・ だっけな、忘れた・・・」 「・・・」 「とにかくだ、こいつらは人間以外のいろんな動物の受精卵、だっけ、を子袋に植え付けてな、早い時には一ヶ月ほどでオトナまで育ててな、産んでたんだそうだぜ。 こいつらが孕んで産んだ動物の種類は、あわせて三十種類を越えるんじゃないかって話よ。 りっぱな畜生だよな、こりゃもう。 ヘタすりゃ自分の体より大きく育っちまう動物をよ、腹を裂かずに、こう穴を大きく開かせてな、取り出す技術がキモだったんだそうな」 「なんか、うええ・・・」 「一種類の培養槽で育てられる動物の種類もな、それを育て上げるまでの時間もな、 今までの記録をおもいっきり更新したってはなしだぜ。 同時に何種類もの動物の仔を孕んで育てるなんて神業も開発されたんだってよ」 「人間じゃねえよなあ」 「その技術とクローン技術を組み合わせたらしいが、まあ、なんだ、 一番肝心の部分はこいつら自身が体を張って研究した技術ってことよ。 まさかそれが自分らのために使われるとはな、ははは」 「なんか、因果っすね」 「ケイを解体しはじめる前にな、まず卵巣から卵子を幾つか取り出してな、 それの核を体細胞でなんとかかんとかするんだよな、よくわかんないんだが。 で、それを保存しといてだな、三ヶ月たってケイの体が完全に無くなっちまったら、 それを吊るしてあるこいつ、ユリだよな、の子袋に入れるのよ。 まあ、解体だとかこの辺の作業は専門のエンジニアがいるから、 俺たちの仕事じゃない、ま、安心しな」 「俺、手先不器用っすからね、それ聞いて安心したっす」 「その後も、こいつの穴からいろんな薬を注入したり、妙な機械から伸びたチューブを何本も差し込んだり、まあ、いろいろ作業するんだわ。 どんな意味が有るのか、俺にゃわかんねえんだけどな。 するとな、そのうちこいつの下腹が、こう、ドンドン膨らみはじめてな。 そうよ、こいつの腹ん中で、ケイの細胞が育ちはじめるのよ。 そのうち、こいつの腹は、そりゃ破裂するんじゃねえかって、心配になるくらい膨らむぜ」 「破裂、っすか。凄いっすね」 「二ヶ月もたったころにゃ、そりゃもう、胸から下はグロテスクなくらい変形しちまうのよ。 そりゃそうだ、だってよぅ、こいつの身体とほとんど同じ大きさのモノが入ってるんだからな」 「ほとんど同サイズって、うーん・・・」 「三ヶ月たつと、胸から下は、なんて言うかな、そう、もう、こりゃあ絶対人間じゃねえってくらい変形しちまってる。 例えて言えば、そう、いわゆる容器って感じかな。 腹の中で相棒がモゾモゾ動いてるのもよくわかるぜ。 もう、こいつの子袋のなかの相棒は、三ヶ月前に死んだ時と同じ歳まで育ってるわけさ。 準備完了、ってことで、エンジニアがまたこいつの穴になんかいろいろ突っ込んで、記憶の伝達うんぬん言いながら作業するわけよ」 「ああ、さっき聞いた記憶伝達物質っとかいうやつっすね」 「するとな、こいつのこの穴がよ、もう、下腹全部が穴になったのかと思うくらい大きく広がってな、俺もはじめて見たときゃビビッちまったくらい、広がってな、そこから相棒が、こう、ヌルゥっと産まれてくるのよ」 「そりゃ、見たいような、怖いような光景っすね、先輩」 「これで選手交代よ。 ユリを六ヶ月間吊るしてたフックから降ろして、こっちのガラスケース、マナ板だな、これに寝かせる。 産まれたケイに意識が戻ったら、まあ、だいたいすぐ気がつくんだがな、今度はケイの方をフックに吊るして準備完了だ」 「吊るすって、ケイの手足を斬ったりはしないんすか?」 「ああ、大丈夫だ。 こいつらには、もう、生まれつき手足は生えてこないんだ。 手足が有るとな、相棒の子袋に入る時、全体にちょっと大きくなりすぎるんだよな。 で、なんだっけ、遺伝子をいじる方法があるんだろ、それでもって改造しちまったんだそうだ」 「まあ、そりゃ、こいつらに手足は要らないって言ったら、そのとーりですよね」 「今度はユリの方が三ヶ月がかりでバラされて、ケイに喰われる番さ。 でユリの身体が無くなったら、三ヶ月かけてケイの子袋でつくり直されるってわけよ。 エンドレスってやつだな。ははは」 「えーと、えーと・・・ああ、やっと飲み込めた。 結局ですね、えーと、最初の三ヶ月間ここに吊るされて相棒の肉を食らい続ける。 次の三ヶ月は、吊るされたまま子袋で自分が喰っちまった相棒を育てて、 最後に産む、と」 「そうそう、そうそう。そーゆーこと」 「で、ですね、次の三ヶ月は、こんどはマナ板の上で解体されて、 自分と交代で吊るされた相棒の餌になる。 で、最後の三ヶ月は相棒の子袋の中で育つ、てことですね」 「そうそう、頭いいなおまえ」 「それ程でも無いっすよ。おだてないでくださいよ。 でも先輩、こんなの維持し続けるなんて、ものすごい金かかりませんか? 大丈夫なんすかねぇ」 「さっきもいったろ。 トラコンを殺しても殺し足りないくらい怨んでるやつは銀河中に 一千億人はくだらねえんだ。 こいつらは生き残った最後のトラコンよ。 こいつらに復讐するためなら銀河中の被害者団体がいくらでも資金をだすさ。 いくらでもな」 「で、こいつらはこの世の終わりまで、地獄の苦しみってわけか・・・・」 「最初こいつらの死刑を中止するって話を聞いた時には、 銀河中のトラコン被害者団体やらその遺族団体は、もう、怒り狂ったもんよ。 だがな、こいつらの処置について詳しい計画が発表されてからは、みんな大喜び、 大賛成だったぜ。 とっとと殺しちまうのとくらべりゃ、金も手間もえらくかかって大変なんだがな、遺族にとっちゃな、こいつらは死刑にするくらいではあきたらねえ。 未来永劫、地獄の苦しみを味わわせてやらなきゃ、気が済まねえんだ。未来永劫な」 「なんか、怖いっすねぇ」 「ま、人間、悪いことをするにしても、死刑にしてもらえる程度にしておくほうがいいってことだな。はははは」 (終) |
Dr.Poo様のへの感想は、めなぞ〜る♪までお願いします!転送いたします!!
Sirius☆さまから、このSSに基づくケイの絵を送ってもらいました!(2000/07/15)